10士業とは?登録者数・男女比・難易度などの比較
8士業・10士業とは?
士業のなかでも、以下の8種類をまとめて「8士業」と呼びます。戸籍・住民票などの請求権を持つ点で、他の士業に比べて強い権限を持ちます。いずれも国家資格です。
- 「8士業」の国家資格
- 弁護士、弁理士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、海事代理士
上記の8士業から「海事代理士」を除外し、「公認会計士」「中小企業診断士」「不動産鑑定士」の3種類を加えたものを、一般的に「10士業」と呼びます。以下、10士業の実勢データを簡単に紹介します。
「10士業」の登録者数・男女比・試験合格率
登録者数 (人) | 男性の割合 | 女性の割合 | 試験合格率 | |
---|---|---|---|---|
弁護士 | 44,101 | 80.4% | 19.6% | 45.5% |
弁理士 | 11,653 | 83.7% | 16.3% | 6.1% |
税理士 | 80,163 | 84.5% | 15.5% | 19.5% |
司法書士 | 23,059 | 81.0% | 19.0% | 5.2% |
行政書士 | 50,286 | 84.9% | 15.1% | 12.1% |
公認会計士 | 33,215 | 85.3% | 14.7% | 7.7% |
社会保険労務士 | 44,203 | 67.9% | 32.1% | 5.3% |
土地家屋調査士 | 15,929 | – | – | 9.6% |
中小企業診断士 | 約27,000 (2019年4月1日時点) |
– | – | 5.4% |
不動産鑑定士 | 8,446 (2021年時点) |
92.6% (2021年時点) |
7.4% (2021年時点) |
6% |
※ いずれも基本的に2022年(令和4年)時点の数値
上表の「試験合格率」を見れば、どれも難易度の高い資格であることがわかります。なお、弁護士の合格率が高いのは、試験を受けるまでのプロセスで相当ふるいにかけられるためです。
【補足】データの見方
試験合格率の計算方法は、原則として「合格者数 ÷ 受験者数 = 試験合格率」です。ただし、公認会計士については「合格者数 ÷ 出願者数 = 試験合格率」とする慣行があるようですので、当記事でもそれに倣いました。
なお、上記の試験合格率においては、合格後のプロセスが考慮されていません。士業によっては、試験に合格しただけでは各士業団体の名簿に登録できず、より実務的なトレーニングや考査を受ける必要があります(弁護士の場合は司法修習生考試など)。
10士業の登録者数
士業の仕事をスタートするには、各士業団体へ登録が必要です。参考までに、2018年から2022年の5年間における「10士業」の登録者数は、下表のように推移しています。
総登録者数の推移(2018年~2022年)
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
弁護士 | 40,066 | 41,118 | 42,164 | 43,206 | 44,101 |
弁理士 | 11,185 | 11,336 | 11,460 | 11,556 | 11,653 |
税理士 | 77,327 | 78,028 | 78,795 | 79,404 | 80,163 |
司法書士 | 22,488 | 22,632 | 22,724 | 22,718 | 23,059 |
行政書士 | 46,915 | 47,901 | 48,639 | 49,480 | 50,286 |
公認会計士 | 30,350 | 31,189 | 31,793 | 32,478 | 33,215 |
社会保険労務士 | 41,187 | 42,056 | 42,887 | 43,474 | 44,203 |
土地家屋調査士 | 16,625 | 16,471 | 16,240 | 16,141 | 15,929 |
中小企業診断士 | – | 約27,000 | – | – | – |
不動産鑑定士 | 8,286 | 8,269 | 8,338 | 8,446 | – |
※ 単位:人
いずれの業種でも大きな減少は見られません。増加傾向にある士業の登録者は、弁護士・税理士・行政書士・公認会計士・社会保険労務士・不動産鑑定士です。
10士業で女性が占める割合
よく「士業は女性が少ない」と言われますが、近年は徐々に増加しています。社会保険労務士は、他士業に比べて女性の割合が高めです。
総登録者のうち女性が占める割合の推移(2018年~2022年)
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
弁護士 | 18.6% | 18.8% | 19.0% | 19.3% | 19.6% |
弁理士 | 15.1% | 15.3% | 15.7% | 15.9% | 16.3% |
税理士 | 14.8% | 14.9% | 15.1% | 15.2% | 15.5% |
司法書士 | 17.2% | 17.6% | 17.9% | 18.1% | 19.0% |
行政書士 | 13.7% | 14.1% | 14.6% | 14.8% | 15.1% |
公認会計士 | 13.9% | 14.1% | 14.4% | 14.5% | 14.7% |
社会保険労務士 | 30.1% | 30.7% | 31.3% | 31.7% | 32.1% |
不動産鑑定士 | 7.0% | 7.0% | 7.3% | 7.4% | – |
なお、土地家屋調査士・中小企業診断士に関してはデータがないので、代わりに試験合格者の男女比を紹介しておきます。
合格者のうち女性が占める割合の推移(2016年~2020年)
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
土地家屋調査士 | 6.5% | 8.4% | 9.7% | 9.2% | 8.3% |
中小企業診断士 | 6.8% | 9.5% | 9.1% | 10.8% | 7.9% |
10士業の試験合格率
10士業における資格の難易度を、時系列で見てみましょう。弁護士に関しては、司法試験の合格率が年々増加しています。それ以外の士業種では、大きな変動は見られません。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
弁護士 | 29.1% | 33.6% | 39.1% | 41.5% | 45.5% |
弁理士 | 7.2% | 8.1% | 9.7% | 6.1% | 6.1% |
税理士 | 15.3% | 18.1% | 20.3% | 18.8% | 19.5% |
司法書士 | 4.3% | 4.4% | 5.2% | 5.1% | 5.2% |
行政書士 | 12.7% | 11.5% | 10.7% | 11.2% | 12.1% |
公認会計士 | 11.1% | 10.7% | 10.1% | 9.6% | 7.7% |
社会保険労務士 | 6.3% | 6.6% | 6.4% | 7.9% | 5.3% |
土地家屋調査士 | 9.5% | 9.7% | 10.4% | 10.5% | 9.6% |
中小企業診断士 | 4.4% | 5.5% | 7.8% | 6.7% | 5.4% |
不動産鑑定士 | 4.9% | 4.8% | 5.9% | 6.1% | 6% |
すでに述べた通り、上記の合格率は試験のみに着目した数字です。受験資格を得るまでのプロセスや、合格後の課程については考慮されていません。また、母数の取り方が異なる場合もあります(志願者or受験者数)。
したがって、士業間での難易度を、この表だけで単純比較することはできません。あくまで、各士業において、時系列での変化を知りたいときの参考としてください。
【参考】日本の人口と未来予測
日本の総人口と生産年齢人口は、今後以下のように減少する見込みです。それにともなって、国内においては需要が減少してしまう業務もあるでしょう。
日本の人口推計
日本の総人口 | 日本の生産年齢人口 |
---|---|
日本の将来推計人口(平成29年推計) – 国立社会保障・人口問題研究所
とはいえ、士業の人口まで減少するとは限りません。参考までに紹介しますと、弁護士人口は以下の通り2050年ごろまでは増加し続ける見込みです。
弁護士に関する人口推計
弁護士人口 (人) | 国民総人口 (万人) | 弁護士1人あたりの 国民数 (人) |
|
---|---|---|---|
2019 | 41,118 | 12,617 | 3,068 |
2020 | 42,164 | 12,533 | 2,972 |
2021 | 43,115 | 12,484 | 2,895 |
2022 | 44,091 | 12,431 | 2,819 |
2027 | 48,954 | 12,124 | 2,477 |
2032 | 53,792 | 11,762 | 2,187 |
2037 | 58,491 | 11,354 | 1,941 |
2042 | 62,406 | 10,913 | 1,749 |
2047 | 64,121 | 10,462 | 1,632 |
2052 | 61,844 | 10,014 | 1,619 |
2057 | 58,782 | 9,562 | 1,627 |
2058 | 58,376 | 9,470 | 1,622 |
2059 | 57,921 | 9,378 | 1,619 |
2060 | 57,673 | 9,284 | 1,610 |
2061 | 57,444 | 9,190 | 1,600 |
2062 | 57,240 | 9,095 | 1,589 |
2063 | 57,238 | 8,999 | 1,572 |
2064 | 57,285 | 8,904 | 1,554 |
2065 | 57,285 | 8,808 | 1,538 |
日本の老年人口は、2040年ごろがピークと見られます。特定の業務に関しては、むしろ需要が増えることも充分考えられます。